2009年09月19日

不況の影響で私大に「地元回帰」現象

提供:Benesse教育情報サイト

日本私立学校振興・共済事業団は、今春に行われた2009(平成21)年度私立大学入試の入学志願動向調査の結果をまとめました。

私立大学をめぐる環境が、地方大学や小規模大学を中心に悪化していることは、以前にもお伝えしましたが、改めて小規模大学が厳しい環境にある一方で、「地元回帰」とも言える現象が地方大学で起きていることが注目されます。


調査対象になった私立4年制大学570校の2009(平成21)年度入試における入学定員は44万9,869人(前年度比0.3%増)で、これに対する志願者数は307万1,673人(同0.3%増)、受験者は295万2,482人(同0.4%増)、合格者は103万9,036人(同1.7%減)となっており、入学者は47万9,083人(同0.2%増)でした。

志願倍率は6.83倍(前年と同じ)、合格率は35.19%(前年度比0.74ポイント減)、入学定員に対する入学者の割合を示す「定員充足率」は106.49%(同0.12ポイント減)となっています。

この数字だけを見ると、私立大学は依然として高い倍率を誇っており、安泰であるように映ります。しかし、細かく見ていくと、さまざまな問題が浮かび上がってきます。


志願倍率は、1倍台が179校、1倍未満が65校もあり、私立大学全体のうち42.8%が志願倍率2倍を割っていることになります。

また、合格率を見ても、90%以上が145校、100%が20校もあります。つまり私立大学の28.9%が、実質的に無試験か、それに近い状態になっているわけです。さらに、私立大学のうち入学定員を満たせなかった大学は265校で、全体の46.5%(同0.6ポイント減)に上っています。

しかし、大学規模別に見ると、入学定員が「3,000人以上」の大学の志願倍率は11.61倍、定員充足率は111.86%なのに対して、「800人以上 1,000人未満」のところは志願倍率5.03倍、定員充足率109.40倍にとどまり、「800人未満」の大学は定員充足率が100%を切っています。知名度の高い大学に学生が集中し、小規模大学には学生が集まりにくくなっている、と言ってよいでしょう。


ただし地域別に見ると、これまでにない傾向が現れました。定員充足率を見ると、「東京」「京都」など大都市部がやや減少したのに対して、「北海道」「東北(宮城を除く)」「中国(広島を除く)」「四国」などで増加しました。たとえば、「北海道」は前年度96.44%だったものが98.35%に、「東北(宮城を除く)」は79.87%から83.48%、「中国(広島を除く)」」は81.50%から87.80%にそれぞれ増加しています。これは、学生が減少し続けていた地方大学にとって、明るい材料です。

もっとも、これは深刻な不況のなかで、地方から大都市部の大学に子どもを進学させる余裕のない家庭が増え、やむなく地元の私立大学に進学させる、というケースが増加したためとも考えられます。その意味では、地方大学が抱える構造的な問題は変わっていないとも言えます。小規模大学や地方大学の振興をどう図るかが、私立大学全体の大きな課題と言えるでしょう。


(提供:Benesse教育情報サイト)
posted by 現役 at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 私立大学